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リレーコラム

no.6「シンドバッドの冒険」鳳鳴31期1979年卒 佐々木一雄さん

4/26/2023

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「シンドバッドの冒険」
鳳鳴31期1979年卒 佐々木一雄

私が鳳鳴高校在学中の1976年頃は、ABBAや映画Saturday Night Feverの大ヒットで世界はDiscoブーム。ワクワクする未来を感じさせる中、我がクラスにアメリカのオレゴン州からLoriさんという交換留学生が遠路遥々来日して私の隣の席に座ることになった事が縁で、日本の海の向こうの世界に目が向きました。卒業後、東京で建築学を学び、五木寛之の小説「青年は荒野を目指す」に刺激されて、1981年、イラン‐イラク戦争の真最中のバグダッドに、設計図を抱えながら、シンドバッドをダイヤモンドの谷に運んだルフという巨大な翼竜の代わりにBoeingに乗り、モスクワ、フランクフルト、アンマン経由で約3日かけてFlightしたのが冒険の始まりでした。
 
鳳鳴高校の応援歌にもある「臥薪嘗胆」をひそかに胸に抱き、覚悟しての出発でしたが、対空砲火に見舞われることも無く、着いてみるとバグダッドは平穏そのもの。着飾った男女のカップルが週末のレストランで楽しそうに談笑し、宿泊先のホテル前には立派なアリババと40人の盗賊の美しい噴水が七色の光にライトアップされていました。拍子抜けし、安堵するとともに、テレックスがメインの時代ながらも正反対の状況であった場合、正確な情報を早く収集する事の重要さを直に我が身で感じました。
 
設計図を基に、現地で現地人と協力してプロジェクト完遂するには、文化も言葉も価値観も全く違う人達とチーム編成する必要があり、初めて対面するエジプト人、イラク人と試行錯誤しながら、約22年後の2003年に日本から自衛隊が派遣されることになるSamawahという町を拠点に、初めて見る砂漠(土漠)をサウジアラビアの国境付近までランクルで走り回りました。
 
ほとんど成果を期待されていなかった私が東京を驚かせたのは、技術者である私がチームのコミュニケーションを通訳に頼るのではなく、自分から彼等の言葉であるアラビア語で取ろうとしたことが大きかったと思います。鳳鳴時代は理系か文系と分けられたのですが、世界ではどちらの要素も同時に駆使すればとてもうまくいくことを自分で実証して、この成功体験でリズムを掴んだ私は、イラクのあとシリアに5年、アルジェリア6年、サウジアラビアと中近東に滞在することになります。
 
思い出深いのは日本政府の無償援助プロジェクトでアフリカのカメルーンに赴いた時のことです。熱帯性気候で中近東とは全く違う気候、今度はアラブ人とは全く気性も文化も違うカメルーン人とのチーム編成で、彼等とは鳳鳴時代Loriさんと鍛錬した英語に加えて新たにフランス語が加わりました。
マラリア蚊の習性を研究して感染を防ぎながら、コテージの前に聳える巨大なマンゴーの樹からたわわに実る魅力的な甘い香りを放つマンゴーを好きなだけもぎ取り味わいました。陽気なアフリカ人の心地よい音楽と笑顔が素晴らしい女性のダイナミックなダンス、大地の喜びが彼女らを通してリズム太鼓と共に体の芯まで伝わってきました。建設中の小学校の前を通る子供たちが大きな目を広げ屈託のない笑顔でBonjour、Merci Japon.と歌いながら通学している姿に、子供たちの希望と未来を感じ体の底から力が湧いてくるのを体感した次第です。


2006年、日本が有事に巻き込まれてマラッカ海峡や南シナ海が海上封鎖された場合、生命線であるエネルギー確保の多様化に対応すべくサハリン2プロジェクトに参画することになりました。ロシア語表記はキリル文字ですが、発音はフランス語のように大きく口を開けて喉から声を出さなくても伝わるので、秋田出身の私にはとても楽でした。また零下20度では殆ど防寒マスクで鼻から下を覆っているので、大きな口は開けるのは不自然でもあります。日中は50度を超えるアルジェリアのサハラ砂漠から、零下20度前後のサハリンへの移動と環境の変化はちょっと心配でしたが、全く問題なく順応できたので、改めて強靭な自分の身体に感謝しています。
 
マレーシアとベトナムにはそれぞれ2年の合計4年滞在しました。中近東やアフリカ、ロシアとはまた違う文化で、特にマレーシアはインド系、マレー系、中華系、そしてボルネオ島にはイバン族というジャングルの民が混在しまさに人種の坩堝です。食べ物も多種多様ドリアン、スターフルーツ、野生のランプータン、ジャングルバナナと、果物の宝庫でした。またベトナム人の器用なこと。ベトナム戦争を経験した世代は、キャピラーでもバイクでも一晩で殆ど修理するか、代替品をどこからからともなくかならず調達してきます。その能力と彼らのネットワークには、驚きを超えて畏怖の念を抱かせられました。

1981年からのシンドバッドの冒険で思うところは、2023現在、通信手段や情報ネットワークが格段進歩しているにも関わらず、安心して冒険できる場所や環境が急減していると言うことです。私の友人には、残念ながらテロリストによる人質事件に巻き込まれ命を落としたり、難を免れ無事生還したりした人がおりますが、驚くことに生還した人間は、また周到な準備をして淡々と出発して行きます。
私自身、2013年までフランスへ戻る際オランダのスキポール空港経由でいつも搭乗していたマレーシアのクアラルンプールとアムステルダムを結ぶマレーシア航空MH17便が、2014年には、ウクライナ上空を飛行中にミサイルで撃墜されてしまいました。

新卒或いは卒業生の皆さん、冒険に出発するに際しては、政府や会社のみならず多極的な情報ソースのアンテナを自分なりに張り巡らし、その真偽を見極め充分なリスクアセスメントを行ったうえで、勇敢に自信をもって冒険に出発したうえで充分楽しみ、忘れえぬ人生の1ページとされることを切に願い、無事に帰還するまでが冒険のシナリオであること。そして、「百里を行くものは九十を半ばとする」という格言にてコラムを締めくくりたいと思います。

Good Luck, Von voyage!!
​
2023.4.26掲載
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